2023年度中央大学法科大学院ガイドブック
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修了生からのメッセージケーススタディ(事例研究)による、刑事法学修の総仕上げ法科大学院において履修する刑事法の科目には、実にさまざまな科目があります。「刑事法総合III」は、最上級学年の学生たちが履修する、刑事法学修の「総仕上げ」のための重要な授業です。履修者には、事前に長文の事例問題が課題として与えられます。いずれも、相当にレベルの高い法的論点を含み、司法試験の問題よりも複雑な難問ばかり。学生諸君は、あらかじめ設問に対する自分なりの答えを提出することが求められます。そして授業の場では、理解をさらに深め、検討が十分でなかった点を自覚することになるのです。法律家になるためには、①法的事項に関する一定の知識、②事実関係を分析する能力、③論点を発見・抽出できる能力、④未知の問題にも既存の学識を用いて対応する応用力、⑤迅速に仕事を片付ける事務処理能力を備えることが必要です。「刑事法総合III」の履修により、これら5つの能力をバランスよく身に付けることが可能です。30年以上、大学の教員として刑法学の教育と研究に従事。法務省新司法試験考査委員などの委員を歴任。講義の予習として事前に課されるレポートでは、時間を測って起案を行うことで、事案の内容を正確に把握した上で、書くべき論点の優先順位を意識した答案作成を行う能力を身に付けることができました。そして、先生方が答案の添削をしてくださったため、自分自身の直すべき答案の書き方の癖や誤って覚えていた知識を知ることができ、形式面においても内容面においても自信を持った答案を作成することができるようになりました。また、友人とレポートの内容について議論をすることで、様々な視点から自分自身が気付くことのできなかった論点に対する理解を深めることができました。この講義を履修することによって、法律知識のみならず、初見の事例問題の事案を正確に把握する能力、抽出した論点の優先順位を考え答案に書くべき論点を判断する能力、妥当な結論を導くための論述能力といった司法試験合格のため、そして法律家として必須な能力を身に付けることができました。メッセージ法律家を志望する人にとって最も大事なことは、法律学の議論を心底好きになること、大いに楽しめるようになることです。私がこれまでに出会った偉大な法律家の中で、法律学の講義が嫌いという人はいません。法律学の講義が大好きで、しかし法律家としてはダメというような人も知りません。執拗につきまとっても法律学から嫌われることはありません。法律学は魅力的な学問です。心底ほれ込んでほしいし、ハマってほしいと思います。27 中央大学法科大学院3年次必修刑事法総合Ⅲ 井田 良 教授担当教員堀口 恵梨佳2021年司法試験合格司法試験合格の先、法律家としても必須の力を鍛える授業紹介3年次必修・選択科目

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