2023年度中央大学法科大学院ガイドブック
26/40

修了生からのメッセージメッセージ講義において一番大切なことは、受講生と教員が共に努力をすることで、受講生一人一人が知的興奮と自らの成長を実感できる環境を作ることだと思います。そのためには予習・復習はもちろんのこと、些細な疑問であっても億劫がらずに、また恥ずかしがらずに教員にぶつけることが大切です。みんなで一緒に楽しい講義を作っていきましょう。ロースクールではよく「法律の体系的理解をしなさい、条文を読みなさい」と言われます。ある程度理解が進んだ今では、確かにこの二点は法律を勉強する際にとても大事なものだと思います。しかし同時に、法律を学ぶ人にとっては最初の壁となるでしょう。野村先生の講義では、全体的な法体系の中で各法律がどこに位置しているのか、個々の法の論点では、全体構造のどこの話で、他とどう関わっているか。どのような社会的な背景や合理的な理由をもって、その条文は書かれているのか。これらを丁寧に解説いただけるので、講義後に改めて条文を読み返すと、自学自習では無味乾燥だった条文に華やかさを感じられるほど、しっかりと法律を理解できるようになりました。また、商法はもちろん、他の法律においても応用できる考え方、そして最初に挙げた二点の観点である法律の体系的理解と条文の背景までを理解しながら、学修できるようになりました。そのような意味で、この講義は、私の学修の根幹となったと思います。中村 睦2021年司法試験合格会社法では、実際の紛争を意識しながら商法・会社法の基礎的な知識を習得することを目指しています。重要になるのは、各論点における条文・学説・判例等に関する知識をばらばらに覚え込むのではなく全体を体系的に理解することと、具体的な事実を規範に正確に当てはめる能力を磨くことです。例えば、株主総会において合併決議が行われた際、取締役が株主の質問に十分回答したかが問題になったとします。仮に取締役の説明義務違反があった場合、それがどのような道筋によって合併の効力に影響するかを説明できなければならず、体系的に理解していなければその答えは導かれません。また、株主の具体的な質問に対して取締役が説明義務を果たしたか否かは、取締役の説明義務の存在を知っているだけでは判定できず、認定基準に事実を的確に当てはめる力が必要です。この講義では、受講生がこうした能力を身に付けられるようにすることが目標です。西南学院大学助教授、中央大学法学部教授を経て、2004年より中央大学法科大学院教授。森・濱田松本法律事務所客員弁護士。金融庁・総務省・厚労省の顧問、郵政民営化委員、年金記録問題検証委員、福島原発事故に関する国会事故調査委員会委員・主査などを歴任。25 中央大学法科大学院担当教員1年次必修会社法実際の紛争を意識しながら、知識を習得する野村 修也 教授教科書にはない法律の背景を開き真の理解をする授業紹介1・2年次必修科目

元のページ  ../index.html#26

このブックを見る