2023年度中央大学法科大学院ガイドブック
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証拠や事実関係を様々な角度で分析し、公平・中立の立場から結論を示すことによって、当事者が平穏な生活を取り戻すための一助になりたいと思っています。[2017年 修了]松岡 藍子さいたま地方裁判所第1民事部 裁判官(2022年3月現在)私が法曹界を目指した最初のきっかけは、テレビドラマを見て検察官に憧れたことです。その後、外国人や労働者に関する問題、企業法務などにも関心を持ち始め、専門職として人の役に立つ仕事をしたいと思ったことから、弁護士を志すようになりました。そんな私の中で「裁判官」が進路の選択肢に入ったのは、法科大学院生になってからです。裁判官としてのご経験をお持ちの先生方の講義を受け、それまで遠い存在であった裁判官の仕事を具体的にイメージできるようになりました。そして、実際の実務修習でも、私にとって一番なじみやすかった仕事は裁判官でした。一方当事者の立場に立つのではなく、公平・中立の立場から事案を見るということが自分に合っていたようです。法科大学院の授業の中で特に印象に残っているのは、模擬裁判です。具体的事案においてどのような訴訟活動をしなければならないのか、条文で規定されている手続が実際にはどのように行われるのかなど、自ら実践し、実務家教員の方々からご指導をいただくことで、多くを学びました。司法試験のための基本的な演習力は、日頃の授業をベースにした学修で身につけました。また、自宅では勉強に身が入らない私にとって、個別の自習席はとても勉強しやすかったですし、専任教員に気兼ねなく質問ができるオフィス・アワーなど、中央大学法科大学院には、司法試験合格のための学修環境が整っていたように思います。合格者の先輩と接する機会も多く、悩んだ時には相談に乗っていただき、大変助かりました。現在は、さいたま地方裁判所の医療集中部に所属し、民事事件、特に医療事件を多く担当しています。裁判官ならではの難しさは、当事者が提出した主張と証拠のみに基づいて、様々な角度で事案を分析し、最終的な結論を出すための決断をしなければならないということです。医療事件については、専門知識を理解することから始まり、医療界や患者・ご遺族への配慮も大切です。このような難しさを感じながらも、和解や判決によって当該事案に即した解決をすることが出来たときには、大きなやりがいを感じます。今後も、複雑化した紛争を少しずつ整理して、当事者の方々が、紛争のない落ち着いた生活を取り戻すための一助になりたいと考えています。目標の一つであった裁判官の職に就くことができた今、中央大学法科大学院での学修を頑張って良かったと実感しています。入学を検討している皆さんも、目標に向けた気持ちを強く持って、ご自身のペースで合格を目指していただければと思います。13 中央大学法科大学院裁判官

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