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3年次必修 法科大学院において履修する刑事法の科目には、刑法と刑事訴訟法を中心として実にさまざまな科目があります。「刑事法総合Ⅲ」は、最上級学年の学生たちが刑事法学修の「総仕上げ」のために履修する重要な授業です。 履修者には、事前に長文の事例問題が課題として与えられます。いずれも、相当にレベルの高い法的論点を含み、司法試験の問題よりも複雑な難問ばかりです。学生諸君は、あらかじめそのケースに取り組み、設問に対する自分なりの答えをレポートとしてまとめて担当教員に提出することを求められます。授業の場では、教員と学生との間で展開この授業を受けて-修了生からのメッセージメッセージ梶原 寿美怜2020年司法試験合格される問答を通じて、課題に含まれる争点についての理解を深め、隠されていた重要問題に気づき、検討が十分でなかった点についてこれを自覚することになるのです。 法律家になるためには、①法的事項に関する一定の知識、②事実関係を分析する能力、③論点を発見・抽出できる能力、④未知の問題にも既存の学識を用いて対応する応用力、⑤迅速に仕事を片付ける事務処理能力を備えることが必要です。「刑事法総合Ⅲ」は、これら5つの能力をバランスよく身に付けることを可能とするための授業でありたいと思っています。 そして授業内に、事前に課されたレポートに対する解説を聞くことで、自身の理解が不足している理論を正確に理解することができ、また学生と教授の対話により、様々な視点から自身が気づけなかった論点に対する理解を深めることができました。 刑事法総合Ⅲを履修することによって、法律知識のみならず、初見の事例問題の事実関係を適切に分析する能力、授業内での学生と教授の対話により自身では気づけなった論点を抽出する能力、及び妥当な結論を導くための論述力といった法律家としての素養を身に付けることができました。 法律家を志望する人にとって最も大事なことは、法律学の議論を心底好きになること、大いに楽しめるようになることです。私がこれまでに出会った偉大な法律家の中で、法律学の議論が嫌いという人はいません。法律学の議論が大好きで、しかし法律家としてはダメというような人も知りません。執拗につきまとっても法律学から嫌われることはありません。法律学は魅力的な学問です。心底ほれ込んでほしいし、ハマってほしいと思います。   中央大学法科大学院井田 良 教授30年以上、大学の教員として刑法学の教育と研究に従事。法務省新司法試験考査委員などの委員を歴任。担当教員分析力や論述力など法律家の素養が身につく 事前に課されるレポートは、司法試験で要求されるレベルを超えるものも多く非常に難しかったですが、事実関係を適切に分析し、今まで培った刑法及び刑事訴訟法に関する知識を総動員して論点を抽出し、論点に対して事実関係を適用し妥当な結論を導くということを意識して取りくむことを心がけました。またレポートはA4用紙3枚以内に収めなければならないため、妥当な結論を導くために必要な議論、そうでない議論を取捨選択することで、答案作成に必要な事務処理能力を身に付けることができました。授業紹介刑事法総合Ⅲ  ケーススタディ(事例研究)による、刑事法学修の総仕上げ授業紹介 3年次必修・選択科目

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