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授業紹介2年次必修 公法の中でも主として憲法分野の主要判例を読み込むのが「公法総合Ⅱ」です。工藤・安念の2人のオムニバス授業になります。『判例トレーニング憲法』(信山社)という教科書の、少なくとも3分の2くらいを、問題演習を織り込みながら15回の授業で読み解いていく作業をします。 判例を読むことは、二つの意味があります。まずは、知識の吸収です。日本は成文法の国といわれますが、実務家にとって判例は、法令と並んで最も重要な法源です。判例の知識なしにローヤーの仕事が務まることはあり得ません。次に、判例は法文書を作成するうえでの 答案の「パターン」をとにかく覚えたいという法科大学院生の需要に応えて、「違憲審査基準論」とか「三段階審査論」とかが「お受験業界」では花盛りです。しかし、司法試験のような凝りに凝った事例問題となると、事前に記憶できる一般論を答案上にどれだけ再現したところで高い評価を得ることはできないでしょう。実務に就けばなおさらです。判例を読み込むことは、与えられた雑多な情報を処理して筋の通った文章を作るための必須の作業といえるでしょう。 メッセージ佐藤 優2020年司法試験合格この授業を受けて-修了生からのメッセージ一つのお手本だということも重要です。とくに、最高裁の判決は、日本で最も優秀なローヤーが練りに練って書き上げた文章であり、事実関係と法令・判例という複雑に絡み合う与件を慎重に料理してでき上がった成果物です。判例を丁寧に読むことによって、法令・判例の解釈・適用、事実関係の摘示、論理の組み立てといった法文書を作成するうえでの必須のスキルを獲得することができます。 授業は、質疑応答を交えて進行しますから、予習・復習の負担は軽いものではありませんが、判決文をよく読みノートを作るという愚直な勉強が、実力の涵養につながると思います。判例の背景・土地柄・事件のその後等、参考書では学べない生の事実についてわかりやすく、かつ、おもしろく解説してくださいました。その結果、講義は難しい問題を扱っているにもかかわらず、学生みんながリラックスして伸び伸びと講義が受けられたと思います。 私は憲法という科目は他の科目とは異なり身近なものではなく、起案も定型的になりやすいため当初は苦手な科目でした。もっとも、この講義を通して判例を理解し、自分でも分析ができるようになったことで起案の幅も広がり講義を受け終えた頃には憲法が得意の科目となりました。安念 潤司 教授革新的事業活動評価委員会(内閣官房)委員長、東京都子供・子育て会議委員、松井証券社外取締役、東電HD社外取締役などを歴任。担当教員重要判例についての議論が憲法を身近にする この講義は憲法の重要判例をベースに展開される講義です。 まず、予習段階では判例に対する問題提起が数個設定されており、判旨の思考順序に沿って丁寧に学修を進めることができました。 また、講義では予習によって、判例を正確に理解した学生同士が自己の見解について相互に議論を重ね、先生がそれをサポートするという学生主体の形で行われるので、多角的な視点や問題に対する発想力を学ぶことができました。 そして、講義を担当していただいた安念先生は、公法総合Ⅱ 判例を読み込んで、法文書づくりのテクを盗む
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